個人投資家が注目する「小型株集中投資」 その魅力と投資法は?
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資産運用手法のひとつとして注目が高まっているのが、「小型株集中投資」です。少ない資産から大きなリターンを目指せる魅力がある一方で、リスクが高くなりやすい注意点もあります。メリットとデメリット、銘柄の選び方をしっかりと確認し、小型株集中投資にチャレンジしてみましょう。

目次

  1. 1.「小型株集中投資」とは?
    1. 1-1.小型株とは?
    2. 1-2.集中投資とは?
    3. 1-3.小型株集中投資とは?
  2. 2. なぜ「小型株集中投資」が注目されるのか?
    1. 2-1.注目される理由とは?
    2. 2-2.資産を増やす攻めの手法
    3. 2-3.小型株集中投資の魅力
  3. 3.小型株集中投資のメリット、デメリット(リスク)
    1. 3-1.小型株集中投資の3つのメリット
    2. 3-2.小型株集中投資の3つのデメリット(リスク)
    3. 3-3.ハイリスクハイリターンの投資手法
  4. 4.小型株集中投資、どんな銘柄に投資をすればいいの?
    1. 4-1.投資のポイントは2〜3年以内に、株価が2〜3倍に上昇しそうな銘柄
    2. 4-2.株価上昇が期待できる銘柄の特徴は?
    3. 4-3.注目するポイントは?
    4. 4-4.どのように情報収集すればよいのか?
  5. まとめ.小型株集中投資はリスクを取っても資産を増やしたい人に向いている

1.「小型株集中投資」とは?

小型株集中投資は、資金を小型株に集中投資することで大きな利益を狙う投資方法です。まずは、概要と特徴を確認しましょう。

1-1.小型株とは?

株式投資における銘柄は、時価総額などによって大型株、中型株、小型株に分類されます。厳密な定義はありませんが、目安として時価総額1,000億円未満の銘柄を小型株、時価総額1,000~3,000億円の銘柄を中型株、時価総額3,000億円以上の銘柄を大型株とする考え方があります。

1-2.集中投資とは?

集中投資とは資金を分散投資(※)せず、特定の銘柄に集中的に投資することです。投資銘柄を絞るためリスクが高くなりやすい一方で、大きなリターンを得られる可能性があります。

※分散投資とは
分散投資は、資金を複数の銘柄に分散させて投資する手法です。投資先をわけることで値動きによる影響を分散し、リスクを軽減できるとされます。

例えば、100万円の投資資金があったとしましょう。1銘柄のみに投資(集中投資)した場合、その銘柄の値動きが運用結果を決定します。一方、25万円ずつ4つの銘柄に投資(分散投資)すると、各銘柄の値動きが運用結果に与える影響は限定的になります。

分散投資はリスクを抑えた投資を目指せますが、そのぶんリターンも分散されてしまうデメリットを負います。そのため、分散投資は安定的な運用には向いていますが、積極的に高リターンを目指すのなら集中投資のスタイルが適しているかもしれません。

1-3.小型株集中投資とは?

小型株集中投資とは、小型株に集中投資する手法です。時価総額が低い小型株は、値動きの幅が大きくなりやすいとされます。また、集中投資も先述のとおりハイリスクハイリターンの投資方法です。つまり小型株集中投資は、リスクをとって大きな利益を狙う積極的な投資手法といえるでしょう。

2. なぜ「小型株集中投資」が注目されるのか?

色々な投資手法があるなかで小型株集中投資が注目されるには、いくつかの理由があります。ここでは小型株集中投資が注目される理由を紹介します。

2-1.注目される理由とは?

小型株集中投資が注目される一番の理由は、リターンの大きさです。少額の投資資金を、5~10年で1億円まで増やした投資家もいます。実際には、そこまで資産を増やせる人は多くないかもしれません。しかし、資産を大きく増やしたい投資家にとって、魅力的な投資方法のひとつであることは間違いないでしょう。

2-2.資産を増やす攻めの手法

小型株集中投資が大きなリターンを狙いやすいとされるのは、攻めの手法だからです。分散投資が安定的なリターンを目指す守りの手法なら、集中投資は攻めの手法といえます。成長が期待できる銘柄に一点集中で投資することで、値上がり時に大きな利益を得ることができるのです。

2-3.小型株集中投資の魅力

小型株集中投資が注目されるのは、小型株に魅力的な特徴があるからでもあります。ここでは、小型株の魅力を4つ見ていきましょう。

・魅力1:株価の上値余地が大きく株価上昇が見込める

小型株の魅力の1つめは、株価の上値余地が大きく株価の上昇が見込める点です。小型株のなかには、新たなビジネスへの参入や新技術の開発に挑戦する、将来性がある銘柄がたくさんあります。そのような企業は伸びしろが大きく、将来株価が跳ね上がる可能性を秘めています。

小型株への投資は、未来のビジネスを担う新興企業への出資と、投資家の利益の両方を満たす可能性がある投資手法だといえるでしょう。また、出資した企業の成長を見守る喜びも味わえるはずです。

・魅力2:業績の少しの変化が株価に影響を与えやすい

小型株の魅力の2つめは、少しの業績変化が株価に影響を与えやすい点です。時価総額や流通量が少ない小型株は、業績の変動が株価に反映しやすい特徴があります。企業の業績が上がるタイミングを逃さず投資できれば、短期間での資産の大きな増加も狙えます。

・魅力3:小型株は事業セグメントが単一である場合が多い

小型株の魅力の3つめは、事業セグメントが単一である点です。複数の事業セグメントを展開する大型株は、さまざまな部門での成績が株価に影響するため、株価変動要因がわかりづらいことがあります。

一方、事業セグメントが単一だと事業内容がシンプルで、業績変化の兆しを探りやすくなります。決算書が比較的わかりやすく投資に活かしやすい点も、事業セグメントが単一である利点だといえるでしょう。

魅力4:企業の規模が小さいためアナリストがカバーしづらい

小型株の魅力の4つめは、企業の規模が小さいためアナリストがカバーしづらい点です。

アナリストは、カバーする銘柄について決算書の分析や企業トップへの聞き取りにより投資に必要な情報を収集し、レーティング(格付け)して証券会社や株価情報サイトなどで公開します。ただ、すべての銘柄をカバーすることはできず、大型株・中型株に比べて小型株はカバーするアナリストが少ないとされています。

アナリストの評価は、投資家の動向に大きな影響を及ぼします。たとえば、割安と判断された銘柄に買いが集中し株価が大きく上昇する、といった具合です。反対に、カバーするアナリストが少ない小型株は、割安で放置されている銘柄が眠っているとも言えます。

3.小型株集中投資のメリット、デメリット(リスク)

次に、小型株集中投資のメリットとデメリットを見ていきます。併せて、小型株集中投資をする際に重要なポイントも確認しましょう。

3-1.小型株集中投資の3つのメリット

小型株集中投資には、3つのメリットがあります。

・メリット1:少額でも投資ができる

メリットの1つめは、少額から投資をスタートできる点です。一般的に株式投資では、ある程度まとまった資金が必要とされます。それは、株式の取引が単元株単位で行われるからです。たとえば、株価が1万2,000円で単元株数が100株の銘柄では、120万円(1万2,000円×100株)の資金が必要となります。

株価がそれほど高くない小型株は、少額からでも投資が可能です。仮に株価が1,000円で単元株数が100株の銘柄では、10万円から投資がスタートできます。このように小型株集中投資は、大型株投資よりも投資資金を抑えやすい手法です。

・メリット2:株価上昇余地が大きい

メリットの2つめは、株価上昇余地が大きい点です。2-3で解説したとおり小型株の中には、株価の大きな上昇が見込まれる銘柄も多くあります。そのような銘柄を上手に見つけられれば、大きな利益を狙えるでしょう。

・メリット3:プロ(機関投資家)との勝負になりづらい

メリットの3つめは、プロ(機関投資家)との勝負になりづらい点です。機関投資家は、投資顧問会社や保険会社、投資信託会社、年金基金といった、多額の資金を管理・運用する法人投資家です。投資額が大きい機関投資家の動きは、株価に多大な影響を与えます。場合によっては、機関投資家の動きで株価の動向が決まってしまうケースもあります。

しかし小型株は、時価総額が小さいため機関投資家が投資するケースはほとんどありません。機関投資家の影響を受けることなく、企業の業績や成長性をもとにした投資判断ができるでしょう。

3-2.小型株集中投資の3つのデメリット(リスク)

小型株集中投資で考えられる主なデメリットは、3つです。

・デメリット1:値動きが荒い

デメリットの1つめは、値動きが荒い点です。時価総額が小さい小型株は、少しの材料で大きく株価が動く可能性があります。株価の急な変動に慌てず、原因を見極めたうえで対応していくことが重要となるでしょう。

・デメリット2:事業基盤が堅牢ではないため事業戦略が崩れることもある

デメリットの2つめは、事業基盤が堅牢でないため事業戦略が崩れる可能性がある点です。大企業に比べ資金量などが乏しい小型株銘柄は、事業基盤が弱くなりがちです。思わぬ要因で、期待されていた事業戦略が崩れるケースがあることは知っておきましょう。

・デメリット3:流動性が低い点

デメリットの3つめは、流動性が低い点です。小型株は大型株や中型株に比べ知名度が低く、取引量も多くありません。流動性が低いため、売りたいときに買い手がつかない状態になる可能性があります。

3-3.ハイリスクハイリターンの投資手法

ハイリスクハイリターンの小型株集中投資を成功させるには、資金管理と銘柄選定が重要です。投資を始めるにあたってはまず、金融資産を確認し、生活費や使途が決まった資金を除いた投資できるお金(投資の予算)を明確にしましょう。仮に損失がでても落ち着いて運用を続けられるよう、投資は予算内で行うことが肝心です。

4.小型株集中投資、どんな銘柄に投資をすればいいの?

最後に、小型株集中投資で選ぶべき銘柄の見極め方を紹介します。

4-1.投資のポイントは2〜3年以内に、株価が2〜3倍に上昇しそうな銘柄

銘柄選定のポイントは、2~3年の間に株価が2~3倍に上昇しそうな企業を選ぶことです。大型株では短期間に株価が2~3倍になることは考えづらいですが、小型株ではあり得ます。一例として、2020年に株価が大きく上昇した銘柄を3つ紹介します。

・1:BASE(マザーズ/4477)

BASE(ベイス)はネットショップ作成サービスや、決済サービス「PAY.JP」などを展開する企業です。

▽BASEの株式情報
時価総額972億2,663万円(2021年11月8日時点)
2020年 安値154.8円(2020年3月13日)※
2020年 高値3,448.0円(2020年10月8日)※
単元株数(売買単位)100株
※調整後株価

2020年、BASEの年間高値は3,448.0円で、同年安値の154.8円(調整後価格)の22.3倍に上がっています。同社の単元株数は100株なので、2021年11月8日終値(執筆時点)である877円で計算すると、9万円程度(取引手数料別)から投資ができます。

・2:マクアケ(マザーズ/4479)

マクアケは、新しいモノや体験の応援購入サイト「MAKUAKE」を運営する会社です。

▽マクアケの株式情報
時価総額603億4,887万円(2021年11月8日時点)
2020年 安値2,812.0円(2020年3月23日)
2020年 高値1万3,770.0円(2020年11月5日)
単元株数(売買単位)100株

2020年、マクアケの年間高値は1万3,770.0円で、同年安値の2,812.0円の4.9倍に上がっています。同社の単元株数は100株なので、2021年11月8日終値(執筆時点)である4,865円で計算すると、49万円程度(取引手数料別)から投資ができます。

・3:アズーム(マザーズ/3496)

アズームは、主に駐車場のマスターリースを行う会社です。

▽アズームの株式情報
時価総額164億358万円(2021年11月8日時点)
2020年 安値755.5円(2020年3月23日)※
2020年 高値5,600.0円(2020年12月2日)※
単元株数(売買単位)100株
※調整後株価

2020年、アズームの年間高値は5,600.0円(調整後価格)で、同年安値の755.5円(調整後価格)の7.4倍に上がっています。同社の単元株数は100株なので、2021年11月8日終値(執筆時点)である5,550円で計算すると、56万円程度(取引手数料別)から投資ができます。

4-2.株価上昇が期待できる銘柄の特徴は?

小型株集中投資を成功させるには、値上がりが期待できる銘柄に投資をする必要があります。しかし、好材料が発表されたときにはすでに織り込み済みのことも多く、大きな株価上昇にはつながりづらいかもしれません。

株価の上昇が期待できる銘柄は、「変化」があった企業です。たとえば成長率が急上昇した企業や、赤字の大幅な縮小、黒字転換があった銘柄などが挙げられます。変化があった銘柄はその内容が株価に反映しきれていないことも多く、さらなる値上がりが期待できるでしょう。

4-3.注目するポイントは?

企業の変化を察知するには、業績や経営状態を表すいくつかの数値を知っておくことが重要です。ここでは、主要な5つの指標の見方を確認しましょう。

▽企業の業績や状態を表す5つの指標
指標の種類計算式詳細
売上高成長率(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高企業の売上高伸び率を示す。
PSR(株価売上高倍率)時価総額÷年間売上高主に新興企業の株価水準をはかるための指標。売上高が同等の2社を比較した場合、PSRが低い方が割安とされる。
EPS(1株当たりの利益)純利益÷発行済株式数企業の収益力を表す指標で、数値が高いほど収益力があると考えられる。また、当期と前期のEPSを比較することで、成長率をおしはかることもできる。
ROE(自己資本利益率)当期純利益÷自己資本(※)×100(%)
※自己資本=純資産-新株予約権-少数株主持分
株主が拠出した自己資金で、どれだけ利益をあげたかを測る指標。投資効率を知る手がかりとなる。
モメンタム対象期間の終わりの株価-始まりの株価株価の勢いや方向性を判断するためのテクニカル指標。株価上昇時に、モメンタムもあわせて上昇していれば、株価上昇に勢いがあると考える。

4-4.どのように情報収集すればよいのか?

株価の上昇が期待できる銘柄を選ぶには、情報収集が欠かせません。スムーズに確実な情報を得るなら、企業の決算短信や月次売上を確認しましょう。色々な銘柄の情報を比較検討したいなら、四季報も便利です。

SNSで話題の銘柄やアナリストレポートで高評価の銘柄も、投資先の候補となります。ただし、SNSの情報やアナリストの格付けは、あくまでも判断材料の1つとして利用することが肝心です。誰かの推奨銘柄をもとに投資をすると、もし損失がでてしまったときに納得ができません。最終的にどの銘柄に投資するかは、投資家自身で決めることが何より重要です。

まとめ.小型株集中投資はリスクを取っても資産を増やしたい人に向いている

小型株集中投資は、積極的に資産を増やしたい人に向いている投資手法です。リスクは高めですが、2~3年で資金が2~3倍になるなど大きなリターンも期待できます。小型株集中投資を成功させるには、しっかりと企業分析をしたうえで投資銘柄を決めることが重要になるでしょう。

小型株への投資は、比較的少ない金額から始められます。損失がでても慌てずじっくり資産運用をするためにはまず金融資産を確認し、余裕資金内で投資をスタートさせましょう。

文・N.ヤマモト