注目銘柄「ユナイテッド」(マザーズ・2497)を分析

最注力事業、成長期待事業、収益期待事業に位置づけ

4軸で事業を展開。インベストメント事業ではメルカリ株売却で大きな利益も

ユナイテッドは、モバイル広告事業を展開していた2社が合併して誕生した企業で、スマホ向けアドテクノロジー事業から事業領域を大きく広げている企業。何となく新しい企業だというイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実は1998年2月設立と、ある程度年数を積み重ねており、2006年に上場した企業です。

同社は(1)DXプラットフォーム事業、(2)インベストメント事業、(3)アドテクノロジー事業、(4)コンテンツ事業の4軸でビジネスを展開しています。なお、(1)を今後の成長を見込む最注力事業と位置づけているほか、(2)をDXプラットフォーム事業と並ぶ成長期待事業とし、スマホ関連領域に特化した(3)および(4)を収益期待事業と位置づけています。

この会社側の認識を把握しておくことは、正しい企業理解という意味で重要なポイントの1つです。さすがに4軸と簡単に言っても、同社の場合はさらに事業毎にサービスが広がっているため、文字で説明すると逆に混乱を招いてしまうかと思います。以下に会社説明資料の一部を引用掲載しておきますので、ご参照ください。こちらを見れば明らかですが、多角化して事業を展開している面白い企業という印象を受けるはずです。

(画像=決算説明資料より抜粋)

法人向けのDXプラットフォーム事業が順調に拡大

2022年2月8日に発表した2022年3月期の第3四半期決算では、売上高が107億8,600万円、営業利益は56億1,200万円、四半期純利益は38億7,500万円で着地しています(※)。成長期待事業への投資を継続して実施しているなかで、既存事業における競争激化やコロナ禍における一時的な需要の減少といった影響をそれぞれの事業で受けています。2022年3月期の見通しは、売上高が130億円、営業利益は57億円、最終利益は39億円を計画しています(※)。 ※同社は「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29条 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、前期比の増減率の記載はなし

2022年3月期に関して言えば、「収益認識に関する会計基準」の適用で売上高は過去の実績から目減りしています。ただ、ここで重要なのは冒頭の企業概要部分で触れた、会社側が「DXプラットフォーム事業」と「インベストメント事業」に注力していく方針を示しているという点です。

DXプラットフォーム事業で言えば、個人向けは競合の増加などもあって、テコ入れが必要なものの、法人向けは順調に拡大しており、今後も伸張していくことが見込まれます。また、インベストメント事業に関してはもはや言うまでもありませんが、メルカリ(4385)の株式売却益で同社はこれまでに大きな利益を得ています。

もちろんスタートアップへの投資は、全てが上手く運ぶわけではないものの、個人的には同社の主な投資先を見ても、目利き力にはある程度信頼感が持てる印象です(リレーションが構築できていれば、M&Aなどの選択肢も柔軟に取れる)。この二軸を中心にこれまでとはまた違った形で成長を目指していく企業ということで、2023年3月期の同社の取り組みに注目したいところです。

(画像=決算説明資料より抜粋)

短期的には乱高下も、中長期目線では上昇トレンド継続

(図=編集部作成、提供=楽天証券)
(図=編集部作成、提供=楽天証券) ※2022年2月18日作成


株価は2021年3月5日につけた1,248円を安値に強いトレンドを形成しており、11月には2018年12月以来となる2,000円を回復しました。その後は1,850円~2,100円程度での高値もち合いを継続し、年明け以降は全体相場の状況悪化とともに利益確定の動きが優勢となるなかでもち合いを下放れ、1,800円水準までの調整を見せました。

ただし、1月下旬には長い陽線を残して一気に2021年11月の高値水準まで急伸。翌週には一時2,119円まで上昇して昨年来高値を更新したものの、高値更新後は前の週の長い陽線をふさぐ格好で大陰線を残すなど、乱高下の展開となりました。もっとも週足の一目均衡表では雲を上回っての推移を継続しているほか、遅行スパンは実線を上回っている状態のため上方シグナルは継続しています。

また、長期トレンドについては2021年3月の調整局面で支持線として機能していた12ヵ月、24ヵ月線を現在も上回って推移。2021年末にかけての上昇で12ヵ月線とのカイ離が拡大していたこともあり、年明け以降の調整については過熱を冷ます動きといったところでしょう。

需給面については2月上旬に信用倍率が1倍台に低下するなど、取り組みに厚みは増しています。強い基調の時には信用倍率が4倍台を上回っていたこともあり、買い方の需給整理は進んでいます。まずは26週線水準での底固めを見極めつつ、これを下回ったとしても長期的なリバウンドのトレンドは継続しそうですので、押し目拾いのスタンスで見ておきたいところです。

文・若杉篤史(RAKAN RICERCA)