DX関連銘柄7選! 投資家の注目を集めているテーマは?
(画像=Sashkin/stock.adobe.com)


新たな時代の潮流としてすっかり定着した「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。投資家の間でも今後有望な市場のひとつとして認識され、関連銘柄に対する注目度も高まってきました。この記事ではDXの基礎知識のほか、DX関連の注目テーマや関連銘柄、投資のメリットやデメリットを解説します。

目次

  1. 1. DXとは?
    1. 1-1. DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
    2. 1-2. DXの市場規模、今後の成長性
    3. 1-3. DXが注目されている背景
  2. 2.経産省が発表する「DX銘柄2021」
    1. 2-1. DXグランプリ2021
    2. 2-2. DX銘柄は大企業が多い
  3. 3. DX関連で注目のテーマ
    1. 3-1. デジタル・ガバメント
    2. 3-2. eKYC
    3. 3-3. 情報銀行
    4. 3-4. QRコード決済
    5. 3-5. SaaS
    6. 3-6. ネット銀行
    7. 3-7. GIGAスクール構想
    8. 3-8. 医療DX
  4. 4. 中小型株のDX関連銘柄7選
    1. 4-1. テクノホライゾン(東証JQS/6629)
    2. 4-2. ライトアップ(マザーズ/6580)
    3. 4-3. プロパティデータバンク(マザーズ/4389)
    4. 4-4. ジモティー(マザーズ/7082)
    5. 4-5. インパクトホールディングス(マザーズ/6067)
    6. 4-6. カラダノート(マザーズ/4014)
    7. 4-7. ポート(マザーズ/7047)
  5. 5.中小型株のDX関連銘柄に投資するメリットとデメリット
    1. 5-1. 中小型株の銘柄に投資するメリット
    2. 5-2. 中小型株の銘柄に投資するデメリット
  6. 6. まとめ:中小型株の銘柄で高パフォーマンスを狙おう

1. DXとは?

まずDXの基礎知識について解説します。

1-1. DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DXは「デジタルトランスフォーメーション」(Digital Transformation)のことで、IT技術をさまざまな領域で浸透させることで、根本的に改善や変革をもたらすことを指します。元々はスウェーデンのエリック・ストルターマン教授が提唱した概念です。

デジタル化の流れは従来からありましたが、DXでは「デジタル」を土台に産業構造や社会構造を変革させることを目指します。

DXに関しては、元々は企業・ビジネスにおいて語られることが多かったのですが、すでに行政や社会の仕組みにおいても導入が目指されています。日本政府が「デジタル庁」を創設したのも、行政のDXの一環です。

1-2. DXの市場規模、今後の成長性

民間調査会社の富士キメラ総研のレポートによれば、DXの国内市場規模は2030年度には3兆425億円まで拡大する見込みです。2019年度と比べると約3.8倍となる見通しで、産業分野別の市場予測は以下の通りとなっています。

▽DXの国内市場の投資額

産業分野2019年度2030年度予測2019年度比
交通/運輸2,190億円9,055億円4.1倍
金融1,510億円5,845億円3.9倍
製造971億円4,500億円4.6倍
流通367億円2,375億円6.5倍
医療/介護585億円1,880億円3.2倍
不動産160億円900億円5.6倍
その他業界550億円2,090億円3.8倍
営業・マーケティング1,007億円2,590億円2.6倍
カスタマーサービス572億円1,190億円2.1倍
合計7,912億円3兆425億円3.8倍
出典:富士キメラ総研「『2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望』まとまる」

最も大きな伸びを示している分野は「流通」で約6.5倍、続いて大きな伸びは「不動産」で約5.6倍となっています。

1-3. DXが注目されている背景

DXが注目されているのは、DX化がさまざまなメリットを社会にもたらすからです。業務や社会構造の基盤自体をデジタル化することで、業務の生産性は飛躍的に高まります。アナログ的な作業による人的ミスが減らせる上、人の手による作業自体も減らしていけます。

最近では、企業の「焦り」もDX化が注目されている背景にあると言えるでしょう。DXの潮流に乗り遅れた企業は、相対的に競争力などを失っていきます。そのため他社に負けないためにも、多くの企業がいち早くDX化を推進しようと躍起になっているのです。

2.経産省が発表する「DX銘柄2021」

こうした中、経済産業省はDX化の実績が顕著な28銘柄を「DX銘柄2021」として選定し、その結果を2021年6月に公表しました。

2-1. DXグランプリ2021

DX銘柄2021の28銘柄のうち、特に優れた取り組みを行った2銘柄が「グランプリ」として選定されています。その2銘柄は「日立製作所」<東証1部/6501>と「SREホールディングス」<東証1部/2980>でした。

2-2. DX銘柄は大企業が多い

グランプリ企業を含めたDX銘柄2021の28名柄においては、大企業が目立っています。日立製作所のほか、清水建設<東証1部/1803>、日本電気(NEC)<東証1部/6701>、日本航空<東証1部/9201>、ソフトバンク<東証1部/9434>などが選定されました。

3. DX関連で注目のテーマ

DXと一言で言ってもさまざまな取り組みがあり、ビジネス領域によってさまざまなテーマで変革が起きつつあります。中でも特に注目されているテーマを8つ紹介していきましょう。

3-1. デジタル・ガバメント

デジタル・ガバメントは、行政機関においてデジタル技術を徹底的に活用しようという動きです。

住民による手続きなどのオンライン化はデジタル・ガバメントの具体策のひとつですが、それ以外にも、バックオフィス業務のデジタル化もデジタル・ガバメントの一種に数えられます。例えばいまの日本においては、「脱ハンコ」「脱FAX」の流れがこれに当てはまります。

3-2. eKYC

「KYC」という言葉自体、耳にしたことがない人も多いでしょう。KYCは「Know Your Customer」の略で、「顧客の本人確認」のことを指します。この顧客の本人確認をオンラインで行う手法が「eKYC」です。

eKYCの仕組みは年々進化の一途をたどっており、スマホを使って運転免許証の写真などをオンラインで送信する方法もeKYCに含まれますが、顔の画像をデジタル分析することによって本人と特定する仕組みなども誕生しています。

3-3. 情報銀行

「情報銀行」もDXのテーマの1つです。さまざまな個人のパーソナルデータを扱う組織・サービスのことを指します。

個人が情報銀行を利用する場合、自身のパーソナルデータに関する取り扱いルールを事前に定めた上で、情報銀行にデータを預けます。その後、情報銀行側は預かったデータをそのルールの範囲内で企業に提供し、個人はその見返りを「ポイント」などで受け取ります。

3-4. QRコード決済

「QRコード」は日本のデンソーが発明したもので、産業界においては以前から利用されていましたが、それが決済で利用されるようになり始めたのは最近のことです。

世界的に見ると、中国でまずQRコード決済の利用が盛んになり、すでに日本でもQRコード決済が可能なサービスや店舗が増えています。

3-5. SaaS

SaaS(サース/サーズ)は「Software as a Service」の略で、インターネットに接続した状態で利用可能なサービスのことを指します。「クラウドサービス」とほぼ似た意味合いで使われることも多くなっています。

すでにSaaSのサービスは多岐にわたっており、会計ソフトやコミュニケーションツール、ビジネスツールなどでもSaaSサービスが存在しています。

3-6. ネット銀行

ネット銀行もDXの主要なテーマの1つです。ネット銀行に対し、従来型の銀行では、わざわざ店舗を訪れなければできない手続きが多くありました。しかしネット銀行では、オンライン上での手続きで口座が開設できたり、投資信託を購入できたりします。

大手ネット銀行の口座数や預金残高などは右肩上がりで伸びており、業界大手ではすでに1,000万口座以上が開設されています。

3-7. GIGAスクール構想

GIGAスクール構想は、文部科学省が2019年に打ち出した「教育のDX」とも言える構想です。「GIGA」は“Global and Innovation Gateway for All”の略で、デジタル庁はこの構想について「1人1台端末と高速大容量の通信環境を一体的に整備し、ICTや先端技術を効果的に教育に活用する構想」と説明しています。

日本はOECD(経済協力開発機構)の調査でも、教育におけるデジタル機器の活用で大きく後れをとっており、今後日本がどれだけのスピード感で取り組みを進められるのか、注目が集まっています。

3-8. 医療DX

医療における代表的なDXの例としては、オンライン診療の実現や電子カルテの高度化、医療ビッグデータの研究・活用などがあるほか、医療業務の効率化も医療DXに含まれます。

医療DXにおいては、すでに実用化が行われている取り組みのほか、実証実験中の取り組みも多くあります。

4. 中小型株のDX関連銘柄7選

高い成長性が期待できるDX市場に投資するのであれば、高パフォーマンスを狙いやすい中小型株への投資が有力な選択肢となります。この記事ではDX関連の中小型株の7銘柄を紹介します。

4-1. テクノホライゾン(東証JQS/6629)

テクノホライゾンは、介護業界のDXや教育現場のDX、企業のDXなどに取り組んでいる企業です。映像技術やロボティクス技術に強みがあり、新たなサービスを続々展開しています。

▽テクノホライゾンの概要

時価総額278億8,773万円(2021年10月28日時点)
売上高264億8,100万円
営業利益24億2,000万円
経常利益25億3,300万円
純利益21億4700万円
年初来高値2,262円(2021年7月15日)
年初来高値からの騰落率−41.5%
※売上高などは2021年3月期(決算短信)参照
※年初来高値は2021年10月28日時点
※年初来高値からの騰落率は、2021年10月28日終値と比較

4-2. ライトアップ(マザーズ/6580)

ライトアップは、中小企業に対してさまざまなDXサービスを提供している企業です。具体的には、補助金や助成金が受けられるかオンライン診断してくれる「Jシステム」などを展開しています。中小企業はDX化が遅れているだけに、有望なサービスと言えるでしょう。

▽ライトアップの概要

時価総額235億4,333万円(2021年10月28日時点)
売上高21億3,400万円
営業利益6億200万円
経常利益5億9,600万円
純利益4億3,100万円
年初来高値4,120円(2021年10月20日)
年初来高値からの騰落率−1.6%
※売上高などは2021年3月期(決算短信)参照
※年初来高値は2021年10月28日時点
※年初来高値からの騰落率は、2021年10月28日終値と比較

4-3. プロパティデータバンク(マザーズ/4389)

プロパティデータバンクが展開しているのは「不動産管理DX」です。SaaSサービスの提供を通じて、不動産の収益化やコスト試算、情報の一元化、リアルタイムデータの集計などのデジタル化を支援しています。すでに実績も多く、注目度も上がりつつあります。

▽プロパティデータバンクの概要

時価総額89億1,655万円(2021年10月28日時点)
売上高21億6,500万円
営業利益5億400万円
経常利益5億1,900万円
純利益3億5,000万円
年初来高値2,455円(2021年2月8日)
年初来高値からの騰落率−38.8%
※売上高などは2021年3月期(決算短信)参照
※年初来高値は2021年10月28日時点
※年初来高値からの騰落率は、2021年10月28日終値と比較

4-4. ジモティー(マザーズ/7082)

ジモティーは地域情報サイトの運営を通じて、地域情報の共有のDX化に取り組んでいる企業です。これまでアナログ的に発信されていた情報がオンライン上で共有されることで、人と人をつなぐことを理念に掲げています。最近では自治体との連携にも積極的な印象です。

▽ジモティーの概要

時価総額257 億2,441万円(2021年10月28日時点)
売上高13億7,600万円
営業利益3億800万円
経常利益3億700万円
純利益2億5,400万円
年初来高値4,615円(2021年10月22日)
年初来高値からの騰落率−7.0%
※売上高などは2020年12月期(決算短信)参照
※年初来高値は2021年10月28日時点
※年初来高値からの騰落率は、2021年10月28日終値と比較

4-5. インパクトホールディングス(マザーズ/6067)

インパクトホールディングスは、リアル店舗における「販促DX」などに取り組んでいる企業です。同社は流通・サービス店舗に特化したアウトソーシング事業を展開しており、リアル店舗へのサービス提供で蓄積したデータベースを強みに、販促DXに関するサービスを展開しています。

▽インパクトホールディングスの概要

時価総額271億7,045万円(2021年10月28日時点)
売上高110億7,400万円
営業利益10億2,900万円
経常利益2,800万円
純利益△1億8,700万円
年初来高値4,705円(2021年10月20日)
年初来高値からの騰落率−13.4%
※売上高などは2020年12月期(決算短信)参照
※年初来高値は2021年10月28日時点
※年初来高値からの騰落率は、2021年10月28日終値と比較

4-6. カラダノート(マザーズ/4014)

カラダノートは、言わば「生活のDX」に取り組んでいる企業と言えます。妊娠出産や育児など、ライフステージにあったITツールを提案・提供しています。さまざまな種類のアプリを続々提供しており、今後の成長期待度も高い企業です。

▽カラダノートの概要

時価総額92億3,557万円(2021年10月28日時点)
売上高10億200万円
営業利益2億2,300万円
経常利益2億800万円
純利益1億3,900万円
年初来高値1,969円(2021年3月11日)
年初来高値からの騰落率−25.3%
※売上高などは2021年7月期(決算短信)参照
※年初来高値は2021年10月28日時点
※年初来高値からの騰落率は、2021年10月28日終値と比較

4-7. ポート(マザーズ/7047)

ポートは、さまざまな領域でユーザーと事業者をマッチングさせるためのDX事業を展開しています。例えば、外壁塗装の事業者とユーザーのマッチングなどです。顧客獲得率を向上させるサービスで、多くの企業でニーズがあり、同社への注目度はますます高まっていきそうです。

▽ポートの概要

時価総額120億3,389万円(2021年10月28日時点)
売上高47億400万円
営業利益△6,600万円
経常利益△6,200万円
純利益△5,200万円
年初来高値1,128円(2021年9月27日)
年初来高値からの騰落率−11.3%
※売上高などは2021年3月期(決算短信)参照
※年初来高値は2021年10月28日時点
※年初来高値からの騰落率は、2021年10月28日終値と比較

5.中小型株のDX関連銘柄に投資するメリットとデメリット

中小型株のDX関連銘柄を7銘柄紹介してきましたが、こうした銘柄に投資するメリットとデメリットについて、簡単に説明しておきましょう。

5-1. 中小型株の銘柄に投資するメリット

中小型株の銘柄は企業規模がまだ小さいため、業績の少しの変化でも株価の値動きに与えるインパクトが大きくなりがちで、場合によっては大きな値上がりが期待できます。

またDXはまだ新興分野であり、この分野で勝つためには事業のスピード感が求められますが、事業規模が小さい企業の方がスピード感を早めやすいという強みがあることもポイントです。

5-2. 中小型株の銘柄に投資するデメリット

投資テーマとしてDXへの注目度が高いため、短期的に大きな資金が入ることがあります。しかし、ネガティブなニュースなどにより資金流出が一気に起きることもあります。

つまりボラティリティ(価格変動の度合い)が高くなり、大きなリターンも期待できる一方で、リスクも大きくなります。特に、話題性ほど業績が上がらない企業が増えると、そのことが投資家たちを落胆させ、株価の大きな下落につながります。

そのため、数字が大きいほど割高であることを示す「PER」(株価収益率)が70倍や100倍といった銘柄の購入は、慎重に行うべきでしょう。

6. まとめ:中小型株の銘柄で高パフォーマンスを狙おう

DXの領域では中小型株の銘柄にも魅力的な銘柄がたくさんあります。DXは息が長いテーマであり、中長期的な相場の上昇が期待できることも理解しておきたいところです。

ただし記事の中でも触れたように、DXは領域によってさまざまなテーマがあり、全てのテーマが将来有望だとは限りません。自分でしっかり最新情報にアクセスし、投資に値するテーマか見極める努力も欠かせません、

また中小型株のDX銘柄はボラティリティが高めであることも説明しました。そのため、こうした銘柄の投資には一定のリスクがあることを理解し、ほかのテーマの銘柄にも投資するといった「分散投資」によるリスク軽減も重要な視点となります。

文・岡本一道