2021年上半期の株価上昇率トップ50を分析(時価総額10億~50億円)

話題はマザーズだが、実績はジャスダック銘柄

2020年大納会から2021年6月末終値までの東証2部、マザーズ、ジャスダック銘柄の上昇率トップ50(時価総額10億円~50億円未満)では、ジャスダックの27社を筆頭に、東証2部が14社、マザーズが9社となり、ジャスダック銘柄が相対的に多く顔を出していることがわかります。

▽2021年上半期 株価上昇率トップ50(時価総額10億円〜50億円)

銘柄コード市場上昇率(%)2020年大納会終値(円)2021年6月30日終値(円)
1東京ソワール8040東2264.73821,393
2平賀7863JQ174.93981,094
3築地魚市場8039東2162.38332,185
4大阪油化工業4124JQ161.81,0742,812
5グローバルダイニング7625東2161.3230601
6プリントネット7805JQ126.24461,009
7旭化学工業7928JQ105.65921,217
8光陽社7946東294.66891,341
9さいか屋8254東293.7222430
10セキド9878東288.41,1902,242
11日本エマージェンシーアシスタンス6063JQ84.98021,483
12アルー7043マザーズ77.35901,046
13石垣食品2901JQ77.2101179
14松尾電機6969東276.6505892
15東京コスモス電機6772東275.17711,350
16東洋刃物5964東274.97661,340
17ファミリー8298JQ74.5428747
18ヒーハイスト6433JQ70.1278473
19ベストワンドットコム6577マザーズ68.31,6932,849
20山大7426JQ61.37101,145
21大運9363東257.1245385
22川口化学工業4361東255.49521,479
23ロングライフホールディング4355JQ55.3226351
24オプトエレクトロニクス6664JQ55529820
25環境管理センター4657JQ53.8407626
26ベクター2656JQ52196298
27GMOリサーチ3695マザーズ521,6652,531
28ケイティケイ3035JQ51.1317479
29和心9271マザーズ50.4371558
30GFA8783JQ47.5120177
31グラファイトデザイン7847JQ47.4405597
32フォーサイド2330JQ46.278114
33プラコー6347JQ46.1361528
34フェスタリアホールディングス2736JQ45.81,1661,700
35メディアリンクス6659JQ45411596
36ヤマウホールディングス5284JQ44.4486702
37LeTech3497マザーズ43.49481,359
38クレステック7812東243.18951,281
39GMOメディア6180マザーズ421,4272,027
40ケアサービス2425JQ41.2551778
41コーアツ工業1743東2413,4754,900
42新報国製鉄5542JQ40.98611,213
43キャリア6198マザーズ40.9350493
44太洋工業6663JQ40.7391550
45浜木綿7682JQ38.92,4083,345
46コンヴァノ6574マザーズ38.7545756
47アクセルマーク3624マザーズ38.1299413
48セーラー万年筆7992東237.7138190
49ムラキ7477JQ36.8725992
50シンクレイヤ1724JQ36.87771,063
※ランキングは2020年12月30日終値と2021年6月30日終値(東証1部は除外)の比較。東2は東証2部、JQはジャスダック。


昨今、個人投資家の間では、マザーズ銘柄が話題にのぼることが多く、ややイメージと異なる結果かもしれません。また、昨年末から2021年6月末までの期間中における瞬間上昇率トップ50のランキングにおいては、ジャスダック25社、東証2部が16社、マザーズ9社となり、少し角度を変えてみても相対的なジャスダックの強さに変化はありません。

ちなみに、日経ジャスダック平均は、2020年3月の安値をボトムにリバウンド基調を続けており、2021年6月30日には4,002.85円まで上昇し、2018年5月以来の水準を回復しました。また、東証2部指数についても昨年3月安値をボトムにリバウンド基調を続け、この6月には2018年1月以来の最高値を更新。一方、マザーズ指数は同じくリバウンドを強めていましたが、2020年10月にピークを形成しており、その後は緩やかな調整トレンドが続いています。

東証1部は海外投資家、ジャスダックは個人投資家が中心

6月5週(6月28日~7月2日)の投資部門別売買動向を見ると、株数ベースでジャスダックの個人投資家の売買シェアは72.1%、海外投資家は21.9%となり、法人は1.9%にとどまっています。マザーズは個人63.3%、海外投資家32.4%、法人は2.5%となり、東証2部では個人82.5%、海外投資家14.2%、法人0.8%です。

ジャスダック、東証2部は概ね個人投資家を中心とした商いと見られ、マザーズについては個人投資家と海外投資家とでシェアを二分していることになります。

ちなみに東証1部では、個人の売買シェアは23.6%にとどまっており、逆に海外投資家が68.4%を占めています。

ただし、マザーズについては先物が上場していることから、現物と先物とを合成した取引のほか、流動性も考慮すべきです。海外投資家については、マザーズ指数への寄与度が大きい銘柄に対する商いの比率が高いと言えそうです。

ちなみに、マザーズの時価総額上位銘柄では6月末時点で、メルカリ(4385)が9,307億円、フリー(4478)が5,585億円、JMDC(4483)が3,105億円、ビジョナル(4194)が2,187億円、弁護士ドットコム(6027)が2,163億円となっており、上場371社のうち上位10社程度で4割弱の時価総額シェアとなります。これらを考慮した場合、マザーズ市場についても、個人投資家の比率が大きいと考えられます。 参考:東京証券取引所「時価額順位表(2021年6月末現在」

期間中トップは、東京ソワールの4倍超

株価上昇率トップ50では、業種別では、サービス業の9社を筆頭に小売業8社、その他製品6社、電気機器5社、卸売4社が目立ちました。期間中の株価上昇率トップ50では、サービス業13社、その他製品7社、小売業6社、情報・通信5社、電気機器と卸売業はいずれも4社でした。

また、期間中の最も高い値から算出した瞬間上昇率トップ50の最大値は東京ソワール(8040)の368.6%、最小値は太洋工業(6663)の77.5%であり、50社平均上昇率は137.0%でした。一方で、昨年末と6月末の終値ベースでの上昇率の最大値は東京ソワール(8040)の264.7%、最小値はシンクレイヤ(1724)の36.8%となり、50社平均上昇率は70.8%でした。

▽2021年上半期 瞬間上昇率トップ50(時価総額10億円〜50億円)

銘柄コード市場上昇率(%)2020年大納会終値(円)期間高値(円)
1東京ソワール8040東2368.63821,790
2ベクター2656JQ331.6196846
3平賀7863JQ275.13981,493
4築地魚市場8039東2259.58332,995
5和心9271マザーズ249.63711,297
6アルー7043マザーズ236.15901,983
7グローバルダイニング7625東2196.5230682
8環境管理センター4657JQ177.14071,128
9さいか屋8254東2177222615
10大阪油化工業4124JQ171.31,0742,914
11光陽社7946東2165.76891,831
12日本エマージェンシーアシスタンス6063JQ153.78022,035
13松尾電機6969東2151.35051,269
14フルッタフルッタ2586マザーズ147.5177438
15山大7426JQ135.57101,672
16新報国製鉄5542JQ133.78612,012
17プリントネット7805JQ1334461,039
18セーラー万年筆7992東2129.7138317
19旭化学工業7928JQ127.55921,347
20東洋刃物5964東21277661,739
21セキド9878東2125.51,1902,684
22アクセスグループ・ホールディングス7042JQ125.28481,910
23sMedio3913マザーズ121.51,0092,235
24ケアサービス2425JQ119.65511,210
25ウイルコホールディングス7831東2117.9151329
26石垣食品2901JQ115.8101218
27ヒーハイスト6433JQ111.9278589
28ジェイテック2479JQ110.4163343
29ベストワンドットコム6577マザーズ109.71,6933,550
30ランシステム3326JQ109444928
31ガーラ4777JQ108.1209435
32キャリア6198マザーズ108350728
33大谷工業5939JQ107.95,06010,520
34ロングライフホールディング4355JQ104.9226463
35東京コスモス電機6772東298.87711,533
36フォーサイド2330JQ98.778155
37カワセコンピュータサプライ7851東298.2228452
38夢みつけ隊2673JQ94.1119231
39GFA8783JQ91.7120230
40アルメディオ7859東289.1165312
41ケイティケイ3035JQ88.3317597
42ピクセラ6731東287.52445
43AppBank6177マザーズ87.3165309
44ピーエイ4766東285.6167310
45リリカラ9827JQ85147272
46トゥエンティーフォーセブン7074マザーズ82.87921,448
47アクセルマーク3624マザーズ80.6299540
48大運9363東280245441
49ネクストウェア4814JQ79.5171307
50太洋工業6663JQ77.5391694
※ランキングは2020年12月30日終値と2021年6月30日までの最高値の比較(東証1部は除外)。東2は東証2部、JQはジャスダック。時価総額の分類は6月30日現在。


東京ソワール(8040)のトップは変わらずでしたが、全体としては最大値、最小値、平均値もピーク時からは概ね半減していることから一時の過熱が冷まされているとも見て取れそうです。とはいえ、期間中最も上昇率の大きかった上位50社のうち、6月末においてもランキング上位50社に入っている銘柄は33社(ジャスダック17社、東証2部11社、マザーズ5社)ありました。ピーク時から調整している銘柄は多いものの、それでも投資家の関心の高い銘柄であることがうかがえます。

資金が集まりやすいが、熱が冷めた時の離散も速い

2021年上半期は個別の材料やテーマ物色が強まる場面に対しては敏感に反応しやすいほか、一方向の資金の流れになる傾向があるため、下半期では需給状況が良好な間は継続的に買いが向かうことが見込まれます。反対にいったん需給状況が悪化すると需給整理が一巡するまでは調整は長引くことになりやすいようです。個人主体の商いが中心となることから、個別の材料のほか、外部環境の影響を大きく受けた特徴がうかがえます。

昨年末と6月末の終値ベースでの上昇率トップは東京ソワール(8040)の264.7%となりましたが、その期間中における瞬間上昇率としては6月に368.6%まで拡大しました。上昇のきっかけは2月にフリージア・マクロス(6343)による東京ソワール株式の買い増しに伴う再編期待が高まったことです。買い増しを実施しているフリージア・マクロスにおいても期間中の上昇率は66.4%でした。

さらに、この時期はちょうど2回目の緊急事態宣言(2021年1月8日~3月21日)の最中でした。コロナ禍を追い風にした動きは瞬間上昇率の大きい銘柄に表れており、瞬間上昇率2位のベクター(2656)は、2月高値ピーク時の上昇率が331.6%でした。コロナ禍における新たな生活スタイルを推し進めるなかで、障害となっている日本の「押印慣行」について、電子署名サービスを手掛けている同社への関心が強まりました。また、5位の和心(9271)はもともと短期資金の関心が向かいやすい銘柄でもありますが、アフターコロナの流れのなかで急伸し、瞬間上昇率は249.6%になりました。

文・村瀬智一(RAKAN RICERCA)