2021年上半期の株価上昇率トップ50を分析(時価総額50億円~100億円)

足元の中小型株市場はジャスダック銘柄が強い

時価総額50億円以上、100億円未満の企業を対象とした2020年大納会から2021年6月末終値までの東証2部、マザーズ、ジャスダック銘柄の上昇率ランキングを分析すると、ジャスダックが18社、東証2部が18社、マザーズが14社で構成されています。また、同期間における瞬間上昇率のランキングにおいては、ジャスダック23社、東証2部が14社、マザーズが13社となり、ジャスダック銘柄の強さが目立ちます。

▽2021年上半期 株価上昇率トップ50(時価総額50億円〜100億円)

銘柄コード市場上昇率(%)2020年大納会終値(円)2021年6月30日終値(円)
1INCLUSIVE7078マザーズ331.43001,293
2サイジニア6031マザーズ146.41,0552,599
3ズーム6694JQ145.31,6434,030
4ASTI6899東2119.31,4593,200
5ジオマテック6907JQ101.6428863
6オーナンバ5816東2100394788
7ジー・スリーホールディングス3647東298.6215427
8ASJ2351マザーズ97.68271,634
9Mipox5381JQ92.9381735
10タカトリ6338東288.56501,225
11イーエムネットジャパン7036マザーズ87.62,2554,230
12イボキン5699JQ79.42,1773,905
13HANATOUR JAPAN6561マザーズ77.5534948
14グッドスピード7676マザーズ74.41,3052,276
15フジオーゼックス7299東271.42,3394,010
16海帆3133マザーズ64.9379625
17LAホールディングス2986JQ64.28441,386
18アイビー化粧品4918JQ61.4511825
19トラスト3347東259.3150239
20交換できるくん7695マザーズ55.93,0254,715
21ブティックス9272マザーズ55.41,1001,709
22ウルトラファブリックス・ホールディングス4235JQ55.29091,411
23丸八証券8700JQ54.28951,380
24Oak キャピタル3113東25080120
25クエスト2332JQ49.41,1861,772
26ビットワングループ2338東248.6597887
27日本アビオニクス6946東248.32,3503,485
28nms ホールディングス2162JQ47.5276407
29AKIBAホールディングス6840JQ47.4428631
30オプティマスグループ9268東246.57831,147
31テイン7217JQ45.39101,322
32Branding Engineer7352マザーズ44.99981,446
33助川電気工業7711JQ43.5621891
34ウィザス9696JQ42.9413590
35日鍛バルブ6493東242.2206293
36ユニバンス7254東242.1214304
37メタルアート5644東2421,3081,858
38ETSホールディングス1789JQ40.97771,095
39ヒガシトゥエンティワン9029東240558781
40和井田製作所6158JQ39.91,1341,586
41PALTEK7587東239.5486678
42倉元製作所5216JQ37.9116160
43遠藤製作所7841JQ37.9515710
44サンワカンパニー3187マザーズ37.8278383
45加地テック6391東236.54,1555,670
46スターフライヤー9206東235.22,1632,925
47リネットジャパングループ3556マザーズ32.9589783
48NATTY SWANKY7674マザーズ32.82,4553,260
49SANEI6230東232.22,7073,580
50きずなホールディングス7086マザーズ31.31,2451,635
※ランキングは2020年12月30日終値と2021年6月30日終値(東証1部は除外)の比較。東2は東証2部、JQはジャスダック。


株価上昇率トップ50を業種別に見ると、サービス業(9社)、小売業(7社)、電気機器(5社)、情報通信、機械、輸送用機器(4社)となります。このサービス業9社のうち、マザーズ銘柄は7社と比率が高く、小売業についてもマザーズの比率が高くなっています。そのほか、電気機器ではジャスダック、情報通信、機械、輸送用機器では東証2部の比率が高くなっています。

ただし、マザーズ銘柄の業種については、情報通信(38%)、サービス業(32%)の2つの業種で全体の7割を占めていますので、比率から見てもランキングに入る割合は高いはずです。ちなみに、東証2部銘柄の業種比率では卸売業(10%)、機械(9%)、サービス業(9%)、小売業(8%)、電気機器(7%)、情報通信(6%)と分散されています。また、ジャスダック銘柄については、情報通信(15%)、サービス(14%)、卸売業(12%)などとなります。

昨年末から6月末までの期間において高値を形成した月では、1月(8社)、2月(5社)、3月(4社)、4月(8社)、5月(5社)、6月(20社)です。なお、日経ジャスダック平均の昨年末(3,719.41円)から6月末(3,997.50円)までの上昇率はプラス7.47%であり、期間高値(6月30日の4,002.85円)との比較ではプラス7.62%となります。

東証2部指数は昨年末(6,570.91円)から6月末(7,675.60円)の上昇率はプラス16.81%、期間高値(6月28日の7,736.85円))との比較ではプラス17.74%となりました。

一方で、マザーズ指数は昨年末(1,196.49ポイント)から6月末(1207.46ポイント)までの上昇率はプラス0.92%であり、期間高値(2月16日の1,340.38ポイント)との比較ではプラス12.03%となっています。昨年末から6月末比較で1.0%にも届かなかったマザーズ指数ですが、2月高値形成から調整に入ったものの、4月半ばから6月半ばに向けてリバウンドが続いたことにより辛うじて上昇に転じた格好です。

こういった状況を表したかのように、6月に高値をつけたのは20社と突出しており、内訳は東証2部が8社、ジャスダック銘柄が7社、マザーズが5社となりました。

ただし、日経ジャスダック平均、東証2部指数、マザーズ指数は5月半ば以降にリバウンドを見せています。リバウンドに入る前の4月(8社)の内訳はジャスダック5社、マザーズ2社、東証2部1社となり、5月(5社)はジャスダック4社、マザーズ1社でした。調整局面におけるジャスダック銘柄の強さが窺えます。

終値ベース、期間高値ともにINCLUSIVEだが、6月末上昇率は半減

期間中に上昇率の大きかった上位50社のうち、6月末においてもランキングトップ50に入っている銘柄は33社(ジャスダック14社、東証2部10社、マザーズ9社)ありました。期間中の最高値から算出した瞬間上昇率トップ50の最大値はINCLUSIVE(7078)の759.5%、50位はAKIBAホールディングス(6840)の63.6%で、50社平均上昇率は114.4%でした。

▽2021年上半期 瞬間上昇率トップ50(時価総額50億円〜100億円)

銘柄コード市場上昇率(%)2020年大納会終値(円)期間高値(円)
1INCLUSIVE7078マザーズ759.53002,576
2ジオマテック6907JQ2684281,575
3ジー・スリーホールディングス3647東2266215787
4サイジニア6031マザーズ164.71,0552,793
5交換できるくん7695マザーズ159.53,0257,850
6ズーム6694JQ155.61,6434,200
7イメージ ワン2667JQ152.87071,787
8HANATOUR JAPAN6561マザーズ143.45341,300
9ASTI6899東2131.31,4593,375
10ユニバンス7254東2129214490
11加地テック6391東2126.24,1559,400
12ASJ2351マザーズ116.88271,793
13日本アビオニクス6946東2110.92,3504,955
14オーナンバ5816東2109.4394825
15Mipox5381JQ106381785
16Nexus Bank4764JQ105.9170350
17カイノス4556JQ105.69461,945
18タカトリ6338東2105.46501,335
19イボキン5699JQ96.82,1774,285
20ナガオカ6239JQ95.16741,315
21フィスコ3807JQ94.6167325
22クエスト2332JQ93.11,1862,290
23オーケーエム6229東291.51,5112,894
24ウルトラファブリックス・ホールディングス4235JQ91.39091,739
25倉元製作所5216JQ88.8116219
26イーエムネットジャパン7036マザーズ88.52,2554,250
27フジオーゼックス7299東288.12,3394,400
28LAホールディングス2986JQ868441,570
29テラ2191JQ83.9223410
30海帆3133マザーズ83.6379696
31フィーチャ4052マザーズ82.81,5152,770
32那須電機鉄工5922東282.410,79019,680
33テーオーホールディングス9812JQ81.8285518
34トランスジェニック2342マザーズ80460828
35テイン7217JQ79.89101,636
36トラスト3347東278.7150268
37サマンサタバサジャパンリミテッド7829マザーズ73111192
38ビットワングループ2338東270.75971,019
39nms ホールディングス2162JQ70.3276470
40アイビー化粧品4918JQ70.3511870
41助川電気工業7711JQ69.16211,050
42カーメイト7297JQ66.58291,380
43フリージア・マクロス6343東266.4113188
44小僧寿し9973JQ664778
45ロジザード4391マザーズ65.51,7782,942
46NATTY SWANKY7674マザーズ652,4554,050
47日創プロニティ3440東264.68201,350
48ETSホールディングス1789JQ647771,274
49リネットジャパングループ3556マザーズ63.7589964
50AKIBAホールディングス6840JQ63.6428700
※ランキングは2020年12月30日終値と2021年6月30日までの最高値の比較(東証1部は除外)。東2は東証2部、JQはジャスダック。時価総額の分類は6月30日現在。


一方で、大納会と6月末終値ベースでの上昇率トップはINCLUSIVE(7078)の331.4%、50位はきずなホールディングス(7086)の31.3%となり、50社平均上昇率は66.0%でした。ただし、INCLUSIVE(7078)は終値ベース、期間高値ともに上昇率トップとはなりましたが、6月末時点では高値からの上昇率が半減しています。同社については、第三者割当増資で新株を発行し、実業家の堀江貴文氏に割り当てるとの発表を受けて思惑的な動きが強まりました。

なお、期間中に上昇率の大きかった上位50社のうち、6月末においてもランキングトップ50に入っている33社について、6月に高値をつけたのは18社と過半数を占めています。

6月に高値をつけているジー・スリーホールディングス(3647)は、再生可能エネルギー分野に加えて、マグネシウム電池事業を開始するとの発表が材料視されているほか、フリージア・マクロス(6343)は日邦産業(9913)に対するTOBや東京ソワール(8040)株式の保有比率増加など一連の動きが材料視されました。Mipox(5381)は業績評価のほかパワー半導体の研究に関連した材料などが手掛かりとなりました。そのほか、ASJ(2351)、オーナンバ(5816)、AKIBAホールディングス(6840)など、業績予想の修正等を手がかりとしていました。また、経済活動の正常化への期待が高まるなか、Branding Engineer(7352)など技術者派遣などへの物色がみられているほか、不動産セクターのLAホールディングス(2986)などへも投資家の資金が流入しました。

なお、個人投資家による物色が中心と見られますので、決算期となると、業績に着目した物色に向かいます。決算シーズンが近づくと、企業側からの業績修正などの動きも増えることから、決算発表を前に業績修正への思惑から売買が活発化しやすい傾向にあるようです。そのため、決算前の株価反応を見極めることにより投資家の期待値を図ることもできそうです。

文・村瀬智一(RAKAN RICERCA)