注目銘柄「ボードルア」(マザーズ・4413)を分析

事業領域はITインフラ周り。大手通信会社も顧客に

上昇を続ける利益率。追加オーダーによる売上が拡大

ボードルアは、ITインフラストラクチャを巡るコンサルティングから設計、構築、マネージドサービスまで幅広くサービスを提供する企業。2007年4月に設立、2021年11月にマザーズ上場を果たしました。社名はフランス語で魚の「アンコウ」を意味しているそうです。

ITインフラストラクチャという用語について、「正直イメージが湧きにくい……」という投資家の方も多いと思います。ITインフラストラクチャサービスについて会社側は「様々なアプリケーション・システムを利用するために、システムを動作させるサーバー、システムに接続するためのネットワーク、安全な通信・情報を守るためのセキュリティなど複雑なITインフラストラクチャを設計・構築することや運用・保守を請け負うこと」と説明しています。ITインフラ周りが事業領域なので、一般的にイメージされやすいアプリやミドルウェアの開発や通信工事は行いません。

セグメントは、ITインフラストラクチャ事業のみの構成です。先端技術分野に取り組みはじめ、付加価値が高まっていることもあり、利益率は上昇を続けています。その他、既存顧客からの追加オーダーによる案件規模の拡大が多い企業であるという点も特徴として挙げられます。また、主要取引先にはソフトバンク、KDDIなどの通信会社や野村総合研究所などの名前が挙がっています。

売上高は第3四半期時点で前年と並ぶ勢い

2022年1月13日に発表した2022年2月期の第3四半期決算では、売上高が28億7,300万円、営業利益は4億6,700万円、四半期純利益は3億6,200万円で着地しています。先端技術サービスの拡大によって、2021年2月期の売上高(30億8,400万円)に近い水準まで第3四半期時点で早くも並んでおり、その順調な事業成長が窺えます。

2022年2月期の見通しは、売上高が39億2,000万円、営業利益は6億3,500万円、最終利益は4億7,900万円を計画しています。

そもそもITインフラストラクチャ分野で成長が著しい技術領域として会社側が挙げている「クラウド」「セキュリティ」「無線LAN 」「SDN(Software-Defined Networking)」「仮想基盤」「ロードバランサー(※通信の分散装置)」は、もはや言わずもがなの高成長領域であり、同社を巡る市場環境も当然ながら良好と言えます。

また、同社の特徴として「既存顧客からの追加オーダーによる案件規模の拡大が多い」という点を挙げましたが、これはまずは小規模な案件でも積極的に受注して、実力を示すと同時に取引実績を構築。その後に関係性を深めていくというシナリオが明確に描けるということです。

豊富な成長可能性を前面に押し出して、いざ実際に取り組んでみたら、市場に示した通りにまったく展開せず、期待外れの結果となり失望売りが向かってしまうような新興企業も多いのですが、そういった意味で安心感は非常に強いでしょう(実際に利益率の継続的な向上などの実績も示している点も踏まえ)。同社が自社の強みだと自負している「専門人材の育成」が問題なく回れば、必然的に案件対応能力も増してくることになります。

2,100円水準の商いが多く、ここをこなしてくれば需給は好転へ

(図=編集部作成、提供=楽天証券)
(図=編集部作成、提供=楽天証券)


株価は昨年11月30日に公開価格の2,000円を37.5%上回る2,750円で初値をつけました。ただし、同日につけた2,844円を高値に急落し、2,250円のストップ安と波乱の展開になりました。その後2,000円割れから12月半ばには2,435円まで、いったんリバウンドを見せるものの買いは続かず、12月半ば以降は1,750円~2,000円でのもち合いを継続すると、年明け1月6日には1,680円まで下落し上場来安値を更新しました。

しかし、その後は緩やかなリバウンド基調を見せてきており、25日移動平均線を支持線に底堅さが見られました。週足形状では年初に長い下ヒゲを残す形状から2,000円水準でのもち合いを形成。価格帯別出来高では2,100円水準で商いが集中していることから同水準では強弱感が対立しやすいものの、この水準をクリアしてくるようですと、需給状況は改善すると想定されます。

12月半ばに陰転シグナルを発生させたパラボリックは、SAR値が切り下がりを継続するなか、1月11日にはこれにタッチし陽転シグナルを発生させています。現在のSAR値は1,750円水準に位置しているため、足元ではこれが支持線として機能することになります。また、需給状況については12月半ば以降、商いが細っていることから最初の1,700円割れまでの調整において、需給整理も進捗したものと考えられます。信用買い残高も減少傾向にあることから、今後一段のリバウンドを試す展開に期待したいところでしょう。

文・村瀬智一(RAKAN RICERCA)