2021年10月の株価上昇率トップ50を分析

東証2部、ジャスダック、マザーズは軒並み下落の10月相場

ここでは、東証1部以外の全市場の銘柄を対象(時価総額の制限なし)に、2021年10月の月間株価上昇率トップ50、瞬間上昇率トップ50を分析します。

▽2021年10月 月間株価上昇率トップ50

銘柄名コード市場上昇率(%)9月30日終値(円)10月29日終値(円)
1グローバルウェイ3936マザーズ336.947673,350
2INCLUSIVE7078マザーズ197.328582,551
3シーズメン3083JQ114.05299640
4リベロ9245マザーズ92.681,4482,790
5霞ヶ関キャピタル3498マザーズ78.832,1923,920
6インティメート・マージャー7072マザーズ76.461,9583,455
7マーチャント・バンカーズ31212部72.40366631
8アスタリスク6522マザーズ63.396,31010,310
9シー・エス・ランバー7808JQ62.671,8753,050
10鉄人化計画24042部58.96346550
11アールプランナー2983マザーズ56.574,1456,490
12ウルトラファブリックス・ホールディングス4235JQ51.371,4972,266
13アイドマ・ホールディングス7373マザーズ49.195,5508,280
14アドテック プラズマ テクノロジー66682部48.941,5512,310
15FRONTEO2158マザーズ47.261,7672,602
16フーバーブレイン3927マザーズ44.697721,117
17白鳩3192JQ41.70271384
18CAICA DIGITAL2315JQ35.63160217
19リビングプラットフォーム7091マザーズ35.132,0382,754
20ENECHANGE4169マザーズ35.113,9455,330
21エンバイオ・ホールディングス6092マザーズ32.17628830
22かんなん丸7585JQ31.09534700
23ガーラ4777JQ30.67225294
24サーキュレーション7379マザーズ29.313,2754,235
25識学7049マザーズ28.781,6992,188
26エフアンドエム4771JQ28.731,5421,985
27川崎地質4673JQ28.533,4354,415
28LAホールディングス2986JQ28.271,6912,169
29ザインエレクトロニクス6769JQ27.578271,055
30ウエストホールディングス1407JQ27.444,9756,340
31タンゴヤ7126JQ27.421,7542,235
32ライトアップ6580マザーズ27.323,1854,055
33ジモティー7082マザーズ27.193,4204,350
34山大7426JQ27.091,1221,426
35ディーエムソリューションズ6549JQ25.901,0271,293
36アートスパークホールディングス36632部25.789351,176
37タスキ2987マザーズ25.751,7902,251
38ブロードメディア4347JQ25.628041,010
39シャノン3976マザーズ25.511,3131,648
40プロパスト3236JQ25.50149187
41T.S.I7362マザーズ24.202,1202,633
42インバウンドテック7031マザーズ23.623,4504,265
43ビジョナル4194マザーズ23.577,1708,860
44ロジザード4391マザーズ23.472,0202,494
45JTOWER4485マザーズ23.318,75010,790
46日本電解5759マザーズ23.013,7154,570
47アジャイルメディア・ネットワーク6573マザーズ22.63495607
48リファインバースグループ7375マザーズ22.111,3931,701
49プロジェクトカンパニー9246マザーズ21.893,7004,510
50ウェルス・マネジメント37722部21.052,3562,852
※ランキングは2021年9月30日終値と2021年10月29日終値の比較(東証1部は除外)。東2は東証2部、JQはジャスダック。

▽2021年10月 瞬間上昇率トップ50

銘柄名コード市場上昇率(%)9月30日終値(円)10月高値(円)
1グローバルウェイ3936マザーズ359.547673,523
2INCLUSIVE7078マザーズ197.328582,551
3リベロ9245マザーズ140.331,4483,480
4シーズメン3083JQ114.05299640
5シー・エス・ランバー7808JQ113.331,8754,000
6かんなん丸7585JQ95.135341,042
7アスタリスク6522マザーズ94.776,31012,290
8川崎地質4673JQ94.473,4356,680
9アジャイルメディア・ネットワーク6573マザーズ92.32495952
10インティメート・マージャー7072マザーズ91.781,9583,755
11霞ヶ関キャピタル3498マザーズ90.472,1924,175
12白鳩3192JQ78.23271483
13マーチャント・バンカーズ3121東272.40366631
14アイドマ・ホールディングス7373マザーズ69.015,5509,380
15アールプランナー2983マザーズ65.984,1456,880
16ウィルソン・ラーニング ワールドワイド9610JQ65.74216358
17リビングプラットフォーム7091マザーズ63.402,0383,330
18ムラキ7477JQ63.311,3002,123
19鉄人化計画2404東263.01346564
20アドテック プラズマ テクノロジー6668東262.731,5512,524
21インバウンドテック7031マザーズ60.873,4505,550
22フーバーブレイン3927マザーズ60.627721,240
23アクアライン6173マザーズ59.64555886
24ディーエムソリューションズ6549JQ59.101,0271,634
25ウルトラファブリックス・ホールディングス4235JQ58.321,4972,370
26倉庫精練3578東255.29548851
27ENECHANGE4169マザーズ53.363,9456,050
28FRONTEO2158マザーズ52.971,7672,703
29プロジェクトカンパニー9246マザーズ51.083,7005,590
30リヒトラブ7975東249.831,7342,598
31タンゴヤ7126JQ47.611,7542,589
32アスコット3264JQ43.33180258
33リファインバースグループ7375マザーズ43.221,3931,995
34メディアリンクス6659JQ42.23341485
35ニッチツ7021東242.182,9404,180
36山大7426JQ40.551,1221,577
37東邦金属5781東238.231,1431,580
38ガーラ4777JQ36.89225308
39CAICA DIGITAL2315JQ36.88160219
40アートスパークホールディングス3663東236.799351,279
41チームスピリット4397マザーズ36.768461,157
42識学7049マザーズ36.551,6992,320
43ジモティー7082マザーズ36.263,4204,660
44サーキュレーション7379マザーズ34.203,2754,395
45Macbee Planet7095マザーズ34.149,08012,180
46ビート・ホールディングス・リミテッド9399東233.965371
47スーパーバリュー3094JQ33.68570762
48オキサイド6521マザーズ33.076,2908,370
49ルーデン・ホールディングス1400JQ32.96270359
50ライトアップ6580マザーズ32.813,1854,230
※ランキングは2021年9月30日終値と2021年10月の高値の比較(東証1部は除外)。東2は東証2部、JQはジャスダック。


9月末終値から10月末終値までの東証2部、マザーズ、ジャスダック銘柄の株価上昇率ランキング(上位50社)を見ると、28社がランクインしたマザーズを筆頭にジャスダック(17社)、続いて東証2部(5社)となり、マザーズ銘柄が相対的に多く顔を出していることがわかります。

10月の各株価指数は、月初は米国の債務上限問題による不透明感のほか、中国の不動産業界を巡るデフォルトリスクの高まりが嫌気されるなかで大幅に下落して始まりました。その後、米国ではつなぎ予算成立によりデフォルト懸念が後退。中国不動産大手の中国恒大集団がドル建て債の利払いを実施したとの報道なども伝わり、中国リスクについても若干ながら和らぎました。10月半ばには衆議院が解散され、改めて政策期待が高まったことから、緩やかながらリバウンドを継続。ただし、月末に向けては衆議院選挙の結果を前に慎重姿勢が強まったほか、決算発表シーズンに突入するなかでこう着感の強い展開となりました。

月初の急落から持ち直しを見せたものの、最終的に東証2部指数の月間騰落率はマイナス1.32%、ジャスダック平均はマイナス1.13%、マザーズ指数についてもマイナス1.82%といずれも下落となりました。なお、東証2部、ジャスダック、マザーズの3市場全体では3割超の銘柄が上昇する一方で、6割超の銘柄が下落。もっとも、この上昇した3割超の銘柄のうちの約1割の銘柄で月間の上昇率が20%を超えています。米中の不透明要因のほか、国内では衆院選の行方や決算発表が本格化するなかでも物色は広がらず、スモールキャップ銘柄(中小型株)においては、値動きの強い銘柄に連日で投資資金が集中しました。

市場は軟調でも、スモールキャップの一角には資金が流入

また、上昇率上位に多く顔を出したマザーズ銘柄ですが、10月において指数はこう着状態だったこともあって、マザーズ指数のけん引役となりやすい時価総額の大きいコア銘柄は上位に入らず、10月の上昇率の上位には新顔が目立った点が特徴です。

スモールキャップ銘柄は個人投資家主体の売買が中心となることから、資金の逃げ足も速く、短期的な売買にとどまりやすい面はあります。ただし、今回は10月半ば以降から動意を見せている銘柄が目立っています。そのため、10月の月間高値を比較した瞬間上昇率上位50社について、9月末株価と10月末株価を比較した月間株価上昇率上位50社に残っているのは34社と7割近くを占めています。

わずか1ヵ月間で336.94%の株価上昇を達成したグローバルウェイ

月末比較による月間株価上昇率上位3社を見ると、1位のグローバルウェイ(3936)の上昇率は336.94%でした。高値比較での上昇率は359.54%ですので、利食いは見られたものの、概ね高値圏で終えたことがうかがえます。また、2位のINCLUSIVE(7078)の上昇率は197.32%、3位のシーズメン(3083)は114.05%でした。高値比較においても同じ上昇率であることから、月間の高値で取引を終えたことになります。

グローバルウェイは9月16日基準で1株を5株とする株式分割を実施しています。分割後は1000円辺りでのもち合いを続けていましたが、10月12日には11月3日基準で1株を3株とする株式分割を発表。これをきっかけに個人投資家主体の資金が集中し、ストップ高を交えての上昇となりました。世界市場向けゲームプレイヤーのマッチングサービス、GameTomodachiを10月にリリースしたことなども材料視されました。

2位のINCLUSIVEは、観測ロケット「MOMO」と超小型衛星打上げロケット「ZERO」を独自開発・製造するインターステラテクノロジズ社との資本提携合意が材料視されました。米国では宇宙ベンチャーSpaceX(スペースX)が民間人のみでの有人飛行に成功するなど宇宙ビジネスが活発化するなか、思惑買いの動きとなったようです。

3位のシーズメンはメタバース関連として人気化

また、3位のシーズメンは10月22日に外神田商事との業務提携を通じて、メタバースファッション事業へ進出することを発表。メタバース関連として一気に人気に火が付く格好からストップ高を交えての上昇となりました。もっとも、メタバース関連といったテーマ性の強い期待先行の物色であると見られ、バリュエーション面では手掛けづらくなるでしょう。

足元では、決算シーズンに入ったこともあり、決算内容を評価した個別物色のほか、9月30日に緊急事態宣言が全都道府県で解除されたことによる経済活動正常化への期待、岸田政権発足による衆議院選挙に向けた政策期待の高まりを背景に、これまで掲げてきた政策に関連する銘柄への物色も強まっています。

主なところでは、月間株価上昇率4位のリベロ(9245)はIPO銘柄物色のほか、新生活関連サービスを提供しており、アフターコロナにおける新たな生活スタイルのなかでの需要回復が期待されました。5位の霞ヶ関キャピタル(3498)は2021年8月期業績が大幅な増収増益で着地したほか、2022年8月期計画についても市場予想を上回ったことを背景に、ストップ高を交えての上昇となりました。8位のアスタリスク(6522)は、ファーストリテイリング(9983)に絡んでもともと非常に注目されていた直近IPO銘柄だっただけに継続して物色されたほか、ハンディ型のバーコードリーダーを扱っており、経済活動の正常化に向けた物流業務の効率化にも貢献するとの期待が高まりました。9位のシー・エス・ランバー(7808)は2022年5月期第2四半期の業績予想の上方修正のほか、未定としていた22年5月期通期業績予想の発表および配当予想の増額修正が材料視されました。

文・村瀬智一(RAKAN RICERCA)