注目銘柄「カラダノート」(マザーズ・4014)を分析

3つの柱からなるウェルネス&ヘルスケア事業を展開

子育てや健康に関するITツールを提供

カラダノートは、子育てママに強みを持つ、家族を軸としたマーケティング&ソリューション企業です。具体的には、妊娠出産、育児などライフステージの変遷によって変化していく関心ごとに対して、「子育Tech」や「ヘルスTech」関連の適したアプリなどのITツールを提供し、家族の健康を支える伴走者として支援。同時に、子育てママをはじめとする家族の関心ごとに寄り添ったクライアント企業をマッチングさせています。

逆にクライアント企業目線では、同社が有するユーザーデータベースを活用して、Web、メールマガジン、ダイレクトメール、コミュニティ、イベントなどを通じた集客支援や満足度調査などを提供してもらうことになります。

事業は「ファミリーデータプラットフォーム事業」の単⼀セグメント構成となっていますが、セグメント内で事業分野を細分化。2022年7月期からは区分を若干変更し、「家族サポート事業(EC、かぞくの保険、カラダノートウォーター)」「DBマーケティング事業(かぞくアシスタント、かぞくとキャリア、かぞくのおうち)」「DX推進事業(かぞくアシスタント(enterprise / OEM))」の3つとしています。

画像=2022年7月期 第1四半期 決算説明資料より引用)

各損益で赤字転落も、売上高減少は想定の範囲内

2021年12月10日に発表した2022年7月期第1四半期決算では、売上高が前年同期比20.4%減の2億2,400万円、営業損益は2,300万円の赤字(前年同期は1億1,500万円の黒字)、四半期純損益は1,500万円の赤字(同6,300万円の黒字)と各損益段階で赤字転落となっています。

保険代理事業「かぞくの保険」に加えて、宅配水事業「カラダノートウォーター」の提供を開始し、従来のユーザー送客によるフローモデルから自社サービス提供によるストックモデルへの切り替えに注力。その結果の売上減少であり、想定の範囲内であると会社側は説明しています。一方、利益面については売上高の減少に加え、今後のストックモデルの中長期的な売り上げ拡大に向け、新規サービスの開発、コールセンターの体制強化や広告宣伝費といった先行投資をしたことが重しになっています。

日本初、産後うつなどのリスクをカバーする後払い型保険を開発へ

2022年7月期の通期見通しは、売上高が前期比39.7%増の14億円、営業利益は同25.4%増の2億8,000万円、最終利益は同26.6%増の1億7,600万円を計画しています。なお、設立および上場から間もない成長を優先させるべきフェーズの企業ということもあり、配当予想は無配としています。

上期着地を見て進捗が順調であるか確信を持つ必要があるとはいえ、「第2四半期における売上リカバリーは好調」「第2四半期以降は売上拡大および黒字化を見込む」と説明会資料の中で言及しています。もともと、2022年7月期はストックモデルへの切り替えを進める影響により、下期偏重となる想定であったことから、上期で会社側の説明通りの着地となっていれば、業績面で安心感が台頭してくることになるでしょう。

また、同社はジャパンベストレスキューシステムとの業務提携を通じて、日本初(※同社調べ)となる産後うつ・二人目以降の不妊のリスクをカバーする後払い型保険の開発を推進しています。「日本初商品のため当局確認に時間を要しているものの、近日開始を見込む」とこちらについても状況を伝えており、提供開始が待たれるところです。「子育Tech」関連のテーマ性を持つこともあり、今後の「こども家庭庁」創設を通じて、関心が高まる局面も増える可能性があるかもしれません。

行き過ぎた急落で需給整理にも一巡感

(図=編集部作成、提供=楽天証券)
(図=編集部作成、提供=楽天証券)


2021年3月高値と9月高値とのダブルトップ(2点天井)形成からの調整を続け、足元で8月安値の1,200円水準を割り込むと、マドを開けての調整で一気に4ケタを割り込み、860円まで下落しています。ただし、これによりボリンジャーバンドではマイナス2σ(シグマ)を大きく割り込んだことで売られ過ぎシグナルが発生するとともに、出来高を伴った下落によって、需給整理においても一巡感が台頭する格好となりました。

直近ではマドを埋める形でのリバウンドを見せてきていますが、一気の急落によって1,100円~1,400円水準はそれほど商いをこなしていないため真空地帯でもあります。まずは1,100円水準を固めつつ、リバウンド基調が強まる局面においては上昇ピッチを加速してくる可能性はありそうです。目先的には13週、26週、52週移動平均線が位置する1,430円~1,520円水準を意識したトレンド形成を想定し、これら抵抗線をクリアしてくるようですと、3月高値と9月高値とのダブルトップ水準を次のターゲットとしたトレンド形成が期待されてくるでしょう。

文・村瀬智一(RAKAN RICERCA)