12月に決算を迎える業績良好の高配当株をランキング
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12月は個人投資家主体のマーケット。決算直前の高配当銘柄に注目
日本の上場企業の多くは、3月末に本決算を迎えます。そのため、例年3月は、配当権利付き最終日が近づくにつれ、配当利回りに着目した売買が増える傾向にあります。一方で、12月は3月に次いで本決算を迎える企業が多い月となります。特に12月は、海外投資家などがクリスマスシーズンとなることから市場全体の商いは膨らみづらくなる一方で、個人投資家による中小型株物色が活発化しやすい月でもあります。そうした中で、12月決算銘柄の高い配当利回りを意識した物色が期待できるかもしれません。
ただ、本来なら上記のような形となってもおかしくないのですが、2021年は日経平均株価が9月に3万795円まで上昇し年初来高値を更新したものの、その後はデルタやオミクロンといった新型コロナウイルス変異種の世界的な感染拡大やインフレ懸念の高まりを背景に荒い値動きを見せ、12月に入ると2万7,500円水準まで下落する場面も見られました。
東証マザーズ指数についても、12月中旬には年初来安値を更新する不安定な値動きとなっています。このような相場環境では、配当利回りに着目した物色は投資妙味が大きいと考えられます。
機関投資家が参戦する東証1部銘柄は、権利落ちが不安
東証1部の銘柄では、JT(2914)が高配当利回り銘柄として有名ですが、東証1部の銘柄については国内外の機関投資家のほか、年金資金、ファンド等の資金流入もあることから、権利確定日の翌営業日(権利落ち日)には、利回り分の株価に加えて換金売りによる下落も強まりやすいでしょう。
これについては東証2部、マザーズ、ジャスダックの銘柄についても同様ですが、特に流動性の高い東証1部の銘柄についてはより顕著に表れやすいということです。一方で、東証1部以外の市場においては、相対的に個人投資家主体の長期投資の資金が入りやすい傾向があります。もちろん、銘柄にもよりますが、配当落ち後も株式が保有されることにより、比較的早い株価の落ち着きとその後の戻りが見込まれます。
とはいえ、いくら高配当利回りだとしても業績面等のほかの好材料がなければ、配当落ち後は魅力が失われて再び株価は低迷してしまいます。そこで、業績面で安心感のある銘柄をスクリーニングであぶりだしました。
営業利益の進捗率が7割超で、業績の上振れ期待も
▽12月決算の業績良好の高配当株トップ50
銘柄 | コード | 市場 | 配当利回り(%) | 営業利益3Q進捗率(%) | 予想売上高増収率(%) | 業種 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ミズホメディー | 4595 | 東2 | 6.69 | 89.1 | 210.6 | 医薬品 |
2 | 中野冷機 | 6411 | JQ | 4.69 | 89.2 | 13.3 | 機械 |
3 | 日本和装ホールディングス | 2499 | 東2 | 4.61 | 75.9 | 12.8 | サービス業 |
4 | 光ビジネスフォーム | 3948 | JQ | 4.41 | 81.4 | 30.9 | パルプ・紙 |
5 | ニチリン | 5184 | 東2 | 4.38 | 79.5 | 11.6 | ゴム製品 |
6 | 日本フェンオール | 6870 | 東2 | 3.99 | 83.8 | 34.8 | 電気機器 |
7 | 高橋カーテンウォール工業 | 1994 | JQ | 3.85 | 99.9 | 59.5 | 建設業 |
8 | 美樹工業 | 1718 | JQ | 3.79 | 108.1 | 2.7 | 建設業 |
9 | 初穂商事 | 7425 | JQ | 3.75 | 83.3 | 4.3 | 卸売業 |
10 | テクノフレックス | 3449 | 東2 | 3.75 | 80.1 | 2.5 | 金属製品 |
11 | トライアイズ | 4840 | JQ | 3.64 | 82.7 | 0.8 | サービス業 |
12 | フジコピアン | 7957 | 東2 | 3.63 | 95.3 | 14.0 | その他製品 |
13 | 日本創発グループ | 7814 | JQ | 3.21 | 87.7 | 3.4 | その他製品 |
14 | 日住サービス | 8854 | 東2 | 3.13 | 255.9 | 19.0 | 不動産業 |
15 | ロードスターキャピタル | 3482 | マザーズ | 3.10 | 86.5 | 9.3 | 不動産業 |
16 | C&Gシステムズ | 6633 | 東2 | 3.00 | 91.8 | 0.9 | 電気機器 |
17 | ハマイ | 6497 | JQ | 2.83 | 98.4 | 1.5 | 機械 |
18 | ズーム | 6694 | JQ | 2.77 | 85.5 | 24.8 | 電気機器 |
19 | 伊勢化学工業 | 4107 | 東2 | 2.75 | 78.1 | 18.6 | 化学 |
20 | 日本精蝋 | 5010 | 東2 | 2.63 | 83.9 | 6.6 | 石油石炭製品 |
21 | 日本抵抗器製作所 | 6977 | 東2 | 2.46 | 78.0 | 11.9 | 電気機器 |
22 | 妙徳 | 6265 | JQ | 2.41 | 94.3 | 9.8 | 機械 |
23 | GMOアドパートナーズ | 4784 | JQ | 2.36 | 83.3 | 2.8 | サービス業 |
24 | オーナンバ | 5816 | 東2 | 2.35 | 83.5 | 11.5 | 非鉄金属 |
25 | コスモ・バイオ | 3386 | JQ | 2.27 | 99.4 | 11.2 | 卸売業 |
26 | コーユーレンティア | 7081 | JQ | 2.14 | 88.1 | 7.6 | サービス業 |
27 | グローバルインフォメーション | 4171 | JQ | 2.09 | 80.1 | 19.0 | 情報・通信業 |
28 | 遠藤製作所 | 7841 | JQ | 2.00 | 78.2 | 51.0 | その他製品 |
29 | STIフードホールディングス | 2932 | 東2 | 1.94 | 75.3 | 12.7 | 食料品 |
30 | 不二精機 | 6400 | JQ | 1.93 | 95.6 | 26.6 | 機械 |
31 | シンクレイヤ | 1724 | JQ | 1.91 | 98.7 | 18.4 | 建設業 |
32 | 青山財産ネットワークス | 8929 | 東2 | 1.90 | 86.0 | 9.8 | 不動産業 |
33 | 清和中央ホールディングス | 7531 | JQ | 1.87 | 78.6 | 4.7 | 卸売業 |
34 | クリヤマホールディングス | 3355 | 東2 | 1.80 | 92.9 | 17.1 | 卸売業 |
35 | YKT | 2693 | JQ | 1.68 | 88.0 | 18.9 | 卸売業 |
36 | 京葉瓦斯 | 9539 | 東2 | 1.65 | 129.4 | 0.9 | 電気・ガス業 |
37 | デイトナ | 7228 | JQ | 1.65 | 82.2 | 21.1 | 輸送用機器 |
38 | ナカニシ | 7716 | JQ | 1.51 | 85.5 | 26.0 | 精密機器 |
39 | 北海道コカ・コーラボトリング | 2573 | 東2 | 1.43 | 98.6 | 0.1 | 食料品 |
40 | 共同ピーアール | 2436 | JQ | 1.19 | 125.0 | 5.2 | サービス業 |
41 | ザインエレクトロニクス | 6769 | JQ | 1.15 | 82.2 | 52.2 | 電気機器 |
42 | ビーイングホールディングス | 9145 | 東2 | 1.13 | 89.9 | 7.7 | 陸運業 |
43 | 小田原エンジニアリング | 6149 | JQ | 0.99 | 156.0 | 33.8 | 機械 |
44 | グリーンランドリゾート | 9656 | 東2 | 0.96 | 139.5 | 12.7 | サービス業 |
45 | アルテ サロン ホールディングス | 2406 | JQ | 0.90 | 83.5 | 10.6 | サービス業 |
46 | イボキン | 5699 | JQ | 0.89 | 90.2 | 55.4 | 鉄鋼 |
47 | 日本エマージェンシーアシスタンス | 6063 | JQ | 0.88 | 82.3 | 85.7 | サービス業 |
48 | ビリングシステム | 3623 | マザーズ | 0.86 | 85.0 | 13.9 | 情報・通信業 |
49 | B-R サーティワン アイスクリーム | 2268 | JQ | 0.73 | 131.6 | 7.5 | 食料品 |
50 | 日本マクドナルドホールディングス | 2702 | JQ | 0.70 | 84.0 | 8.2 | 小売業 |
※東証1部は除外。東2は東証2部、JQはジャスダック。
上記の表は、(1)12月期決算企業において、(2)今期増収を計画しており、(3)第3四半期までの営業利益の進捗率が7割を超えている、という3つの条件を満たす銘柄を対象とした高配当利回りランキングです。業績の上振れ期待なども高まりやすく、物色対象として注目しておきたいところです。
また、配当落ち後の動向を計るうえで東証33業種の直近3年間(2019年~2021年)の1月の騰落率を検証してみました。それによると、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響があったものの、不動産、医薬品、食料品、情報通信、建設セクターについては3年連続で1月の月間騰落率はプラスでした。また、2020年は1%以下の下落にとどまっていたセクターとしては卸売、電気機器、サービス、化学となります。さらに、これらセクターの3年間のアベレージとしては不動産が8.51%、電気機器7.39%、情報通信6.14%、卸売4.48%、サービス4.23%となります。
業績はV字回復も株価は安値圏で推移のミズホメディー
これらも加味すると、配当狙い、その後も上昇が見込まれる銘柄としては、医薬品で唯一ランキングに入っているミズホメディー(4595)に注目してみてもよいかもしれません。今期についてはV字回復を見込んでいるほか、第3四半期の売上高の進捗率は81%となります。株価は2021年12月13日時点で、同年2月以来の安値水準まで調整していますので、ここからの調整局面においては押し目狙いの動きが意識されやすいでしょう。
情報通信セクターでは2社がランクインしており、グローバルインフォメーション(4171)、ビリングシステム(3623)となります。グローバルインフォメーションは2020年12月に上場し、上場時につけた3,780円を高値に低迷が続いています。2021年の11月には2,000円を回復する場面も見られたものの、その後は冴えない値動きを継続。需給整理は一巡していると考えられるほか、今期の売上高は前期比19%増、営業利益は同43%増を見込んでいることもあり、改めて決算期待による押し目買いの動きに注目したいところです。
また、サービスについては8社がランキングに入っており、日本和装ホールディングス(2499)、トライアイズ(4840)、GMOアドパートナーズ(4784)、コーユーレンティア(7081)、共同ピーアール(2436)、グリーンランドリゾート(9656)、アルテサロンホールディングス(2406)、日本エマージェンシーアシスタンス(6063)となります。日本和装ホールディングスは今期の営業利益は前期比2倍を想定しており、3期ぶりに増収増益を見込んでいます。日本では新型コロナウイルス感染症を抑え込めていることもあり、成人式での需要回復なども注目されそうです。なお、業種別指数からは相対的に内需セクターの配当落ち後のパフォーマンスが良く、配当狙いの物色対象を検討するうえでは有効な視点になりそうです。
そのほか、電気機器は5社がランキングに入っており、日本フェンオール(6870)、C&Gシステムズ(6633)、ズーム(6694)、日本抵抗器製作所(6977)、ザインエレクトロニク(6769)となります。日本フェンオールのPBR(株価純資産倍率)は0.7倍台と、バリュエーション面で手掛けやすいほか、C&Gシステムズは設備投資を抑制する動きは持ち直しの傾向が見られており、CAD(コンピュータ支援設計)とCAM(コンピュータ支援製造)の両事業において主力製品の販売が堅調に推移しています。ズームは2021年12月31日を基準日として1株を2株に株式分割する予定で、これを受けて2021年11月22日には4,880円まで上昇する場面も見られました。足元では調整を続けていることもあり、押し目狙いのスタンスになるでしょう。
文・村瀬智一(RAKAN RICERCA)